患者
女性 50歳
期間
2021/5 〜 (現在も月1程度に通院)
症状
5日前に朝起きて急に左耳が聞こえなくなり、すぐに耳鼻科へ受診した。耳鳴りもある。めまいなどはない。ステロイドを投薬し、他にできることはないのか連絡を頂いた。
30歳の頃に右耳の突発性難聴になり、その後聴力はある程度改善した。しかし、元には戻らず左耳を頼りにしていた所左耳の聴力も下がって困っている。仕事が接客業だったのでお客さんとのコミニケーションが取れないためお休みしている。
慢性的な首肩こりがあったが、ここ最近は特に疲れやコリが溜まっている感じていた。元々季節の変わり目は体調を崩しやすく、それらも堪えたのかもしれないとのこと。
施術
初回
まず首の硬さチェックすると、耳の裏から首にかけての筋肉を摘むとヒドく痛みが出る。本人もここがパンパンに張っている自覚がある。次いで動きをみると首を後ろに倒す、左に振り向くと首すじが痛み動かしにくい。
まずはここの緊張を解くために手足やお尻、背中に鍼をした。
耳の聞こえは変化はないが施術前にあったら首の痛みや動きなどは改善されたので終了した。
2回目 5日後
耳鼻科でオージオグラムで聴力検査をすると低音域の辺りが10db程度ほど改善していた。首の調子は2日はかなり調子はよかった。今は鍼をする前よりはだいぶ良いが、疲れると首肩が凝ってくるような感じがする。
前回と同様な施術を行う。
3回目 5日後
耳の聞こえ方に変化があり、会話が少しずつ聞き取れるようになってきた。
コロナの影響でマスク+ついたてなどがあると聞き取れない事が多い。
音がこもる感じがある。耳鳴りもまだ感じている。
4回目 5日後
耳鳴りの音量も少し下がってきている気がする。以前からあった右の股関節痛みが少し気になる。
今回から股関節の施術も加えた。
5回目 10日後
調子はまずまずで少しずつ聴力も戻ってきているような実感があり、会話も普通にできるようになってきた。
首は疲れると凝っているような感じがあるが普段は楽になっている。
股関節はまだ痛みが出る。
6回目 1週間後
耳鳴りも鳴ってはいるが、最初に比べると小さくなっている。昔突発性難聴なった右耳も少しではあるが良くなっている気がする。
股関節の調子も良さそう。
13回目
耳鼻科で聴力の検査をすると以前よりはよくなっていた。体調によって耳のつまり感や耳鳴りが出てくるが、色んな音があり騒音が苦手であったスーパーなどにも普通行く事ができるようになっている。
以降は月に1回のペースで継続で施術を行っている。



考察
今回のケースでは昔になった右の突発性難聴の経験から異変に気づきすぐに耳鼻科を受診し、鍼にも来てくれた。
結果として元々低かった高音域に関してはあまり変化がなかったが、低音域に関しては100%元通りには戻らなかったが、日常生活に支障がない程度には改善した。
首が楽になると耳の症状が楽になると報告してくれた。
やはり首肩こりも耳の症状に影響があるのではないかと感じた症例であった。
突発性難聴は時間との勝負と言われています。昔なった右の難聴も少しではあるが改善している事は嬉しい誤算であり、可能性も感じた。